著者
内藤 寿七郎(ないとう じゅしちろう)氏。愛育病院名誉院長。日本を代表する小児科医。1,991年発行。長年の医師経験による育児相談の育児書。2歳児の育て方が独創力を強くするために大切!
メモ
母
- 母体が健康な時に妊娠する。新しい生命を喜んで迎える。
- 自然出産で安産で3000g以上あり元気が良ければ、2週間は母乳の分泌がなくても気にせずに気を楽にもって母乳ほ育を続ける。母乳は、母が赤ちゃんにとって、かけがいのない人間であると気づかせてくれ、母に自信と誇り、安定をもたらす。
- 人工栄養は、医師等に必要と判断されれば実施する。その際、「これが最善の道」だと強い信念を持って、罪悪感はもたないで。
- 出産直後から母子一緒に過ごした人の方が虐待をする人が少なく、子どもを大切にいつくしむ気持ちが育つ。
- 母が自信のない接し方をすると、赤ちゃんの情緒が不安定になるので、自信を持って接する。
- 子どもは母の鏡。子どもに自信をもたせるには、母の生活態度が大切。
- 父にいたわりの言葉をかける。育児の基本は夫婦のいたわりあい。
- 穏やかな母親の目つき、顔つきで子どもは人間性を開く。
- いけないこと、できないことは、き然とした態度をとる。
- 子どもが求めた時に惜しみなく愛情を与えてやれ、短くても子どもと楽しい時間を過ごせるなら、罪悪感を感じても仕事を続けて良い。
- 寛大であれ。
父
- 妊娠が分かった時、妻にいたわりの気持ちをこめて勇気付けする。
- 夫婦の真の愛情は妊娠したときにわかる。
- 夫のいたわり、優しい一言があって、妻のおおらかな育児態度になる。
- 夫をはじめ、周囲の人々が妊娠を歓迎することによって、母は母性愛が芽生える。
- 絶えず、母を精神的に支える存在である。
- 母と同じ態度でいる。両親の食い違いは子どものいないところで十分話し合う。食い違いがあると、しつけができない。相手の顔色で行動するようになる。
- 両親は信念を持って活気のある生活を送る。その雰囲気が子どもの自信につながる。
- 両親は「どんな時も、あなたの味方」と知らせ、その上で「自分もことは自分で考える」自覚を促す。
祖父母
- 母と子どもがゆっくり付き合えるよう、母の忙しさを思いやりの心で助ける。
- 両親と同じ態度でいる。両親の食い違いは子どものいないところで十分話し合う。
子ども
- 母親を頼りに情緒を形成していく。
- 2歳は自分で決めたことには責任を持つ。
- 3歳は、親のすることを真似る。
- 外を駆け回り、よじ登り、日光を浴びたり、風に当たることで風邪を引きにくい身体になる。
- けじめのある生活を子どもに身をもって教えてやれば、子どもはまともに育つ。
子どもへの関わり
- 赤ちゃんを育てるということは、無償の愛を赤ちゃんに与えること。
- 泣いたらすぐ抱っこ。3カ月までは、授乳時に一緒に飲み込んだ空気を出したい合図。3カ月を過ぎたら、ベッドのそばであやしてあげる等、けじめを持って赤ちゃんと付き合う。抱っこに一応応えて、またあとでね、と話す。
- 外気浴をかねた散歩を毎日する。海や山に出かけたような気分のよさが、がんこな夜泣きに効く。
- 偏食がちでも、いろいろな食品を与えてみる。インスタントや大人の食事のとりわけで良い。
- 子どもの興奮が冷めるのを待ってから、言いきかせる。
- 寝付くまで、1時間、そばで本を読んだりお話しする。「あなたのことをいつも大切にしている」という気持ちが伝わればスッと寝付く。
- 0~2歳は、言葉ではなく目で育児する。
- 2歳児はやる気を起こしてやる。2歳との約束は必ず守ることによって、忍耐がつく。愛情を求めることが強くなる時があるが、その時はたっぷり愛情を注ぐ。
- 2歳半を過ぎると、親の嫌がることをわざとやる。この時、親は無視する。
- 3歳は、ことばで育児する。
- 0~3歳には説教はしない。他人に迷惑をかけたり、身に危険がない限り、子どものすることにはあまり気にしない。共感する。
- 子どもの欠点が見えたら、けなさず、励まして自信をつける。
- 保育園の担任とはコミュニケーションを大事にする。保護者と保育士が心を開き合うと、子どもは明るく育つ。保育士には、愛嬌や人情を持って接する。
感想
要するに、母は強くあれ!父は優しくあれ!祖父母は謙遜して!子どもには愛を!ということでしょうか。
それが出来れば良いんですが…。まあ、知っていると知らないの差、知っていて実行できるのと、知っているけど実行できないの差を考えると、実行できなくても、子どもによって良い家族の形を知っているだけでも良いのではないでしょうか。
少子化が年々問題となっています。
国は、市区町村は少子化対策としてどんなことをすれば効果が出るのでしょう。
ある府知事も言っていましたが、物事には「エンドポイント」も必要。ある対策をして、終わりの限界の数値を設定しておく。理想の数値、ノルマの数値、限界の数値。まぁ、子育て支援は数値だけで測れるものではないかもしれませんが…。
以前と比べて、核家族化や晩婚化、虐待件数や発達障害、共働き世帯の増加等があります。母が強くあるには、気持ちの余裕が必要ですし、父が優しくあるには金銭的な余裕が必要なのかも。しかし、今まで家で赤ちゃんの世話をしたことのない女性が、閉じられた空間で子どもと向き合う。共働きであれば、もう「生きていれば良い」くらいでないとやりきれない時も。父は、定時で帰宅できることはほぼ無い、帰宅すれば疲れた妻とイヤイヤ言う子ども。
子どもが通っている保育園の園長先生が言っていたのは、「昔は、みんな15時30分とか16時には迎えに来てて、17時になれば保育園のカギを占めて残っている子と先生で駐車場で待ってた。保護者は遅くなってすみません!って言いながら迎えに来て、最後の子が車に入ったのと同時に保育士も車に入って帰ってた」。
一体どんな世界線(笑)共働き核家族はいない世界ですかね。いつから、なんで変わってしまったのでしょう。子どもの事を思えば親のどちらかは専業主婦、もしくは責任のない仕事で子どもを保育園や幼稚園に行かせて自分の時間を持ちつつ子どもの世話を9割がた行って、片方はそんな片方にねぎらいの言葉をかける、なんて関係が良いのでしょうか。
しかし、現代の育児の形も良いところはあります。夫婦共働きで、片方はフルタイム、もしくはそれなりの時間働いて、育児は5:5、もしくは4:6の割合。育児が偏っていると、育児の壁に当たった時、孤独感や責任感につぶされそうになるでしょう。2人で話し合って行ってきたなら、育児の壁も2人で乗り越えられるでしょう。しかし、夫婦共働きだから育児も折半、なんて約束したのに実際はほとんど片方がやってる!なんて喧嘩もよく聞きますが…。
恋愛支援、婚活支援、不妊治療、児童手当、子ども医療費助成、3歳から保育園料無料、小学校の給食費無料。様々な少子化対策、支援をすでに国や市区町村はやっていると思います。それでも少子化がすすむのはなぜでしょう。物価高騰に伴う金銭面の負担や不安、育児負担が大きく1人めや次の子を育てられるイメージがわかないからでしょうか。
一体どうすれば良いのか。おおまかに言うとやっぱり、金銭面の援助と育児支援。国は、こども家庭センターを設立し、経済的支援と伴走型支援を行うとしました。これが功を成すことを祈ります。